
最近、落合恵子さんの新刊『がんと生ききる』を手に取りました。
まず惹かれたのが、表紙に描かれた可愛らしい花の絵。
「これ、なんの花かな? もしかして野菜の花?」なんて想像を膨らませながらページをめくると、2枚の写真が目に飛び込んできます。
1枚は髪が少なくなった姿。もう1枚は、ふさふさの姿。
添えられた「大丈夫、髪は必ず生えてくるから」という言葉に、同じがん患者として、最初からグッと心を掴まれてしまいました。
「備え」があるから、前を向ける
この本は、闘病中の方はもちろんですが、今「健康」な方にもぜひ手に取ってみてほしい一冊です。
もちろん、経験があるからこそ響く言葉も多いのですが、何事も「段取りと準備」が大切ですよね。病気って、ある日突然やってくるもの。いざという時に「どう考えればいいのか」と迷わないための、心の準備運動になるような本だと感じました。
🍋 「レモンちゃん」の歩みと共に
私の先輩世代にとっては、70年代初めの文化放送の番組「セイ!ヤング」で活躍された頃の愛称「レモンちゃん」としてお馴染みの落合さん。本書では、彼女の人生経験や、これまでに出会ってきた素敵な本の紹介も織り交ぜられています。
印象的だったのは、副題にもある「悲観にも楽観にも傾かず」というスタンス。
淡々としつつも温かい筆致で、医療の知識や周囲の人々との交流が綴られていて、読み終わる頃には「人は一人で生きているんじゃないんだな」と、優しい気持ちになれます。
参考情報
病が教えてくれること
巻末にあるブックリストを眺めながら、日蓮の「病によりて道心はおこり候なり」という言葉を思い出しました。
正直に言えば、これまでの私は仕事一筋で家庭を二の次にするような、ちょっと「不埒な」生活を送ってきました(笑)。でも、病気になったことで初めて「どう生きるか」を真剣に考え、自分を省みることができた気がします。
「天に向かって吐いた唾が自分に返ってきた」なんて言うと自虐的すぎますが、病気は私に「志を持って、しっかり生きなさい」という警告をくれたのかもしれません。
生老病死からは誰も逃れられませんが、この本を読むことで、その現実を穏やかに受け入れられるような気がしました。
You are what you eat.
あなたはあなたが食べたものでできている。
第5章の「免疫力を強化する」はお気に入りです。
病気になると自分の力からではなく医療という「他者軸」で治そうとしている。「自分軸」というベースの食や生活を改善する力を高めることをサポートするのが医師の本来の役割と指摘している。那須鳥山氏の診療所所長の本間真二郎さんの考え方と暮らし方を取り上げています。
その実践方法の一つが落合さん自ら行っているファイトケミカルスープ。抗がん作用の高い「デザイナーフーズ・リスト」を挙げて、解説しています。
第6章「2度目の春、そして夏」の「スーザン・ソンタグ最期の日々」にも心を揺さぶられました。
ところで本書ではたくさんの本を紹介してくれています。You are what you read.(あなたは読んだものでできている)と。読書の大切さも痛感。
本書の終わりの方に落合さんの人生の「喜び」が書かれています。『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』を引かれているところです。
「同じ女性や子供たちの置かれた状況、社会における声の小さい側に置かれた人々」、その声をほんのわずかでも「社会のセンター近くに置くことができるように改善すること……。それこそが、わたしの心からの喜びだ」と。失敗の多い人生ではあったが。
参考情報
落合恵子さんのブログ(2025.11.18付)にも、本書の刊行にあたってのメッセージが掲載されています。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。